原発性副甲状腺機能亢進症 〜発見から術後までの体験記〜

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原発性副甲状腺亢進症とは?

先日・・・というか、一か月以上前の話になりますが、人生で初めての手術を受けました。

「原発性副甲状腺亢進症」という病名で、首元にある甲状腺の裏側に小さな米粒ほどの副甲状腺が4つほどあるのですが、その一つが大きくなり過剰にホルモンを分泌して血中のカルシウム濃度を高く(高カルシウム血症を起こす)してしまっていたのです。

カルシウムが骨に蓄積されずに血中に流れ続けると、尿路結石や骨粗鬆症の原因になります。アメリカの副甲状腺専門医であるジェームス・ノーマンという医師は、カルシウム数値が高いのはコレステロール数値が高い状態よりも危険だと言っていて、長期の高カルシウム血症は上記の病の他にも乳がん、前立腺がん、大腸がん、腎臓がん、心臓疾患などにもつながり、結果的に寿命が10年も短くなってしまうと述べているんです😱

そんな一見恐ろしいこの「原発性副甲状腺亢進性」という病気ですが(病名長すぎていちいち言うのも書くのも面倒くさい(笑))、私個人的には大した自覚症状もなく、ほんとに私病気なのかな?という感じ。

この病気は世間ではまだあまり知られておらず、人間ドッグなどでカルシウム値の異常が出ていても、経過観察などと言ってドクターからも見過ごされがちなんだそうです。

私も数年前に3番ちゃんを妊娠中に風邪から肺の炎症を起こし、大きな病院で検査をしてもらった時にたまたま見つかりました。

もともとこの病気は更年期以降の60代の女性に多いようで、私が診察を受けた副甲状腺専門のドクターも私のように40代で、しかも妊娠中にこの病気を診断するのは初めてだとのこと、そのため「お腹の中の赤ちゃんに影響はないのか」などもNZでは症例がなく、ドクター側も色んな資料を調べながらの手探り状態でした。

そしてリスクとして、出産後24時間の間に赤ちゃんのカルシウム数値が下がり、ひきつけなどを起こす可能性があるとわかり、生まれてからの数日間はNICU(新生児集中管理治療室)でお世話になっていました。

幸い何事もなく、母子ともに無事退院。その後私の体の回復を待って、放射線物質を使った検査シンチグラムテストで異常のある副甲状腺の位置を確定して手術をする、という流れになりました。

この病気には薬物療法はなく、手術で摘出するのが唯一の方法らしく、私も公立病院のウェイティングリストに載せられ、さらにコロナのロックダウンなども重なり、結局10ヶ月ほど待たされた後ようやく2021年10月末に手術を受けました。

シンチグラム検査

シンチグラム検査について少し触れますが、この検査は「ガンマ線」という放射線を出す医薬品を使います。

静脈注射で体内に入れるのですが、この注射を受けた直後に私は強い苦味を口の中に感じました。検査技師さんによると、よくあることだと。

検査はこの注射を受けた直後と1時間後に行われます。

検査方法はSPECT-CTスキャンで撮影するだけなので、患者の私達はベッドに寝ているだけ。ただ、私の場合撮影部位が副甲状腺のある首元だったせいか、カメラが私の顔すれすれまで降りてきて、閉所恐怖症なわけでもないのに軽くパニックを起こしました。(笑)

ちなみに、このガンマ線ですが一応放射線物質なので軽い被爆状態になります。なので妊婦さんや授乳中の方は注意が必要です。必ず医師に伝えるようにしましょう。

私は授乳中だったので、この検査の前から粉ミルクにも慣れさせておいて、検査後は念のため2日ほど子供とは接触しないようにしていました。

放射線物質は体内に取り入れてから6時間おきに半分、そのまた半分と体から出ていきますのでご心配なく。この計算だと24時間後には、ほぼ体外に排出されます。

いよいよ手術

ロックダウン中だったので付き添いを付けることができず、一人で病院へ。初めての手術なのに一人で行かなくちゃいけないのはだいぶ心細かったです。

午前7時に病院に着いて受付とコロナ対策のためのRATテストを済ませると、看護婦さんからの問診があり、手術服に着替え、その後麻酔科の先生、手術を担当する先生からの診察を受けて歩いて手術室へ向かいました。この時緊張度MAX😵

2時間ほどの難しくない手術だと聞いていましたが、手術室に入ってみると10人ほどのドクターやナースが待ち受けていて(多分半分は研修医さん達)、一人の患者にこれだけのスタッフが関わってくれるんだ・・・と、なんだか恐れ多い気持ちに。

手術台に寝て、麻酔科の先生が点滴の準備をしながら私に話かけてくれました。「子供は何人いるの?」とか本当にたわいのない 会話をしていたつもりだったのに、次の瞬間・・・気づいたら誰かが私の名前を何度も呼んでいるのが聞こえる・・・重たい目を開けると看護師さんが「手術終わりましたよー」と私に声をかけてくれてました。

ついさっき先生と子供の話をしていたはずなのに・・・記憶が途中でプッツリと切れてる。全身麻酔ってこんな感じなんだー・・・と、初の全身麻酔体験を振り返ってみる。

きっと先生は意識的に話しかけながら患者さんが麻酔で落ちたかどうかを確認するんでしょうね。麻酔で落ちていく自分の姿を想像していると、ちょっとおかしくなって笑ってしまいました。 

その後一般病棟へ移されましたが術後5,6時間は眠くて眠くて睡魔との戦いでした。気を許すと寝てしまうという感じ。

首の痛みは、麻酔が切れた後も思ったほど強くなくて、普通の痛み止めさえあればしのげました。食べ物は固形はまだダメだということで、スープとアイスクリーム。

翌日の朝、朝食で固形物が食べられるかを確認して、血液検査でカルシウム数値の結果を待ってからの退院となりました。NZは日本のように手厚い看護はあまり期待できないので、一日で帰されます。無料ですからね、仕方ない。

日本でこの手術を受けたら4,5日入院みたいですね。こちらでは、一日で帰されるかわりに痛み止め3種類ガッツリと処方されました。(一番強いやつは飲まなかったけど)

そして、手術から1ヶ月後の体調は・・・

体の疲れ具合が、格段に違います!今までは毎日午後を過ぎると、疲れがどっと出てきて少し目をつむっていたい、横になっていたい気持ちが常にありました。

気づいたらそれがなくなってる!

でもそれが病気のせいだとは思ってなかったんです。単に夜ふかしのせいとか、育児疲れのせいだとばかり思ってました。まさか副甲状腺が原因だったとは・・・!

首の傷の方は少しずつだけど違和感はなくなってきています。ヨガとかでなるべく首のストレッチをしてしています。傷跡はもう消えそうにはないですねぇ、仕方ない。

偶然見つけてもらえたこの病気、もしあの時私が妊娠していなかったら、風邪をこじらせたぐらいで大きな病院にかかることはなかったでしょう。そしてあの時、私の体の変化を見過ごさずに指摘してくださったドクターには心から感謝しています。

このブログを読んでくださっている方の中には、この病名から検索してきてくださっている方もいらっしゃると思います。私も自分の病名を知って、はじめにやったことはネット検索でした。でも、あまり知られていない病気だけに情報が少ないと感じたんです。だから私が他の方のブログで助けられたように、私もこの経験を通して誰かのお役に立てたらいいなと思います。

あじさい(@ajisai_kiwidojo

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